5月24日から6月1日までの間、日本人含めて学生140人を引きつれ、日本中を旅行してきた。このJapan Tripは当校でも最大規模の学生主催イベントで、毎年恒例で1年生が企画し、期末試験終了直後に行われている。我々在学日本人1年生一同も昨年の11月から着々と準備を進め、ようやくこの度実行に移す事ができた。俺は他にもやりたい事があった為、そこまでコミット出来ないと判っていたので最初からそう明言していたのだが、同じように授業や学校生活で忙しい中このtripの為に多大なる情熱を持ってフルにコミットして取り組んでくれた同級生には最大限の敬意を表したい。おかげで参加者にとっても、我々企画者にとっても、一生の思い出に残るすばらしい旅行となり、1年目を締めくくるのに相応しいビッグイベントとなった。
■東京(Day 1~Day 4)

まずは初日に六本木のAIにて盛大なwelcome partyでキックオフ。HKとKNがそれぞれ侍と忍者のコスプレで登場しだるま落としゲームで盛り上がり、参加者同士で打ち解けた後は、スモールグループにバラけて街中へ。しかしさすが大枚はたいて日本に来ているだけあって皆expectationは高く、六本木を見て『これは外国人向けすぎて、我々が期待していた日本とは違う。もっと「これぞ東京」みたいなところを見てみたい』というので、とりあえず渋谷の平凡な居酒屋に連れて行くと、ひとまず満足した様子。店にかかっている暖簾や掘りごたつみたいな些細な事でもいちいち『オォー』と感心してパチパチ写真を取り捲る。この日はさすがに皆到着したばかりとあって疲れており、1時過ぎには帰宅。怒涛の9日間の旅は、このように幕を開けた。

翌日は観光バスで東京タワー、皇居、浅草寺を観光。行く先々で『あの建物は何だ』、『風神と雷神とはどんな意味があるんだ』、『天皇は皇居にいる時は何をして過ごしているんだ』だの、質問の嵐。しかも恥ずかしい事に、殆ど答えられない。昼には『日本らしい食事をしたい』と皆が言うので浅草の老舗蕎麦屋に連れて行く。蕎麦ならベジタリアンでもイケるかと思ったが、ダシにカツオを使っている為、食べられるものを探すのに一苦労。結局野菜のてんぷらや漬物を出してもらい、蕎麦はそのまま素で食べてもらう事で何とか落ち着いた。浅草を出た後は相撲の千秋楽を観戦。俺も相撲をナマで見るのは初めてなので、既に琴欧州の優勝が決まっていたとは言え、純粋に楽しめた。また、今回のtripにはブルガリア人夫婦も参加しており、母国の英雄の活躍っぷりにえらく興奮していた。
その後はそれぞれオプションで登録していたディナーに参加。俺はRUと一緒に寿司の食べ放題を引率する事になっていたので、両国から20名近く引き連れて銀座へ。寿司の食べ放題は入るのは初めてだが、既にアメリカの固い寿司を食べなれてしまっているせいか、日本の寿司は小さくも繊細で美味しく感じた。夜は一旦ホテルに戻った後、sectionの連中数名と飲み直し。翌日は朝早いからと判っていつつも、久々にケースの予習に追われない感覚にも助けられ、ついつい深夜まで飲んでしまう。

3日目は超ハードスケジュール。まずは朝5時に集合して築地市場見学。残念ながら競市は団体客お断りの為見学させてもらえなかったが、何名かは個人観光客に扮してうまく潜り込んで見物できたようだ。朝食を場内の魚屋で取り、朝の7時から豪勢なマグロ丼と生ビールで乾杯。するとちょうど南海キャンディースの山ちゃんがテレビの取材で我々が入っていたお店に入って行くではないか。単純に一緒に周っていた人数が全員入れるお店に入っただけだったのだが、どうやら割と評判のお店だったようだ。お腹が一杯になったところで場外をぐるっと見学し、一旦ホテルに戻る。
その次は企業訪問。本当は築地と企業訪問の合間を縫って明治神宮と原宿を連れて周る予定だったのだが、かなりの過密スケジュールだった上、この日の東京は30度の高温で、ビジネスカジュアルで汗びっしょりになりながら急いで歩き回るのは得策でないと考え、直前になってやむなくキャンセル。参加者からは落胆の声もあったが、体力的にもこのスケジュールで周るのは無理だったと後で実感。企業はMicrosoft Japan又はNTTドコモのどちらかを選択する方式だったが、ちょうど半々くらいに分かれたので良かった。自分はNTTドコモの方へ参加。溜池山王近辺で昼食を取る為に少し早めに出たが、何せあれだけ豪勢な朝食を取ったばかりの為、全くお腹は空いていない。そこで、同じsectionのTulika、Swapnil、Auroraと一緒にTBSや赤坂の方までブラブラ歩き回り、喫茶店でお茶だけ飲んだ後は日枝神社を参拝。東京のど真ん中にこんなに立派な神社がある事に皆驚いていたが、仕方ないとは言え、境内とエスカレーターという組み合わせは個人的には違和感を覚えざるをえない。それでも皆やはり神社に行くと日本の赴きを感じる事が出来るので満足したようで、ようやくここでNTTドコモ社内へ。
講演をして下さった辻村副社長は川の向こう側のMIT Sloanの卒業生で、自己紹介でそれを言うとライバル校の登場に、会場一同でなんとブーイング。通常日本では考えられない光景だが、これは勿論ジョークの意を込めたものなので、辻村副社長も笑ってかわす。講演内容は、日本企業のイノベーションスピリットを世に知らしめる、素晴らしいものだった。携帯の技術では日本は米国の何歩も先を行っており、アメリカで大ブレークしているiPhoneも技術的に見れば優れたユーザインタフェースを持っている事以外の真新しさは無い。NTTドコモは『ポケットに入るもの全てを携帯に集約する』というコンセプトでおサイフケータイやクレジットカード機能等の新しいサービスを順次展開しており、それに付随して情報漏えい、スパムメール、セキュリティ対策等の社会的責任を果たす側面でもかなり先を行っている。参加者一同は極東の島国で展開されている未来の情報技術の先進性と、辻村副社長のコンサイスでありながら誠意のこもったプレゼンと質疑応答に非常に感銘を受けたようで、惜しみない拍手を送っていた。その後は幾つかの小さなグループに分かれてショールームを見学した後、レセプションパーティが行われる新生銀行へ移動。
新生銀行のThierry Porte会長も、当校の卒業生。新生銀行に来る前はMorgan Stanleyの東京オフィスを指揮っていた。冒頭のスピーチに代えていきなり質疑応答を始めたのは面食らったが、さすがはBaker Scholarにして日本滞在20年。どんな質問にもマクロ的な視点と自身の豊富な日本の金融業界での経験を織り交ぜて、率直な意見を述べてくれる。ちなみに未だに日本語は上手でないそうだ。内幸町にあるビルの20Fからの景色は格別で、全面ガラス張りのフロアからは皇居、東京タワー、六本木ヒルズ等、東京の名所がことごとく見える。俺も食事や景色を楽しみたいところだが、このレセプションには今回のtripのスポンサーを引き受けて下さった各社も出席しており、挨拶と御礼を言って回っているうちにいつの間にか閉演となってしまった。

お腹も空いたし疲れてもいたが、夜はまだまだ続き、この後は銀座のカラオケへ。意外とカラオケ初体験という人も多かったが、皆ノリノリで歌いまくる踊りまくる。せっかく日本に来たんだから日本の歌もちょっとは知ってもらわないという事で、我々日本人もブルーハーツのリンダリンダを熱唱。『リンダリンダ~♪』のサビが外国人にも判りやすく、ノリも良い曲なのですぐに皆も覚え、一緒になって歌い出す。一部の『ハマリ組』は歌い足りないとの事でそのままカラオケに残る事にし、残りの大部分は麻布のYellowというクラブに向かったが、俺はまずRUとMK、そしてEduardoと少し空腹を満たすべく、新橋の博多天神へ。長い一日だった事もあり、久しぶりのトンコツラーメンは身に染みて上手かった。しかし、まだ終わったわけではない。この後はAurora、Swapnilも合流して我々も先発隊を追いかけ、Yellowに向かう。しかし、どこをどう探しても見つからない。そこで通行人何人かに場所を聞いてみたが、何故か皆口を揃えて『あそこ、閉鎖したと思うよ』と言うので、仕方なく諦めてホテル近辺まで戻り、普通の居酒屋へ。時間は既に2時近く。朝5時から築地に行っているので、本当にハードな一日だ。最後はもうどうホテルに戻ったのかさえ良く覚えていない。

4日目、東京最終日は全員参加のイベントは無く、ほとんどがオプション。さすがに昨日のハードスケジュールが応えたのか、六本木ヒルズ・渋谷を散策するツアーの集合時間には、かなり欠席者の姿が目立つ。午後はそのままSONYを訪問する事になっていたので、それだけには絶対遅刻しないでねと留守電にメッセージを残し、出発。俺は本来自分のSection Iに加えてSection Cも同じ班として案内を受け持つ事になっていたのだが、どういうわけかSection Cだけ全員欠席で、うちのSection Iは皆勤賞。親しい仲間のみになったという事で、単に名所を回るだけでなく、もうちょっとプライベートなツアーにしてみた。みんな買い物には興味が無いし東京の眺望は東京タワーで既に見ているので六本木ヒルズはほどほどにし、それより日本の高級住宅街、元麻布を連れて歩く事にした。六本木通りの忙しさから一本奥まった通りになるだけで、見違えるような静寂さと佇まいを体験できる事に皆驚き、喜んでいた。他にもちょっと変わったところで、部屋の中にアートを飾った住宅展示場を見学したり、近所で評判の抹茶ソフトクリーム屋に行ったり、日本のマッサージ屋に行ったりと、なかなか定番のコースでは味わえないところに連れて行ってあげる事が出来、皆もとても喜んでくれた。
渋谷の探索が終わり、一旦ホテルに戻ってビジネスカジュアルに着替えた後はSONY本社を訪問。昨年は1回しか使わないのにスーツの持参が必要だったのが不評だった事もあり、今年は各社と交渉・調整してtripを通じてスーツは一切不要にしてもらった。SONYは毎年ショールームが好評なのだが、今年は残念ながら他のグループが先に予約していたようで、見学が出来なかった。プレゼンはコンシューマプロダクツ担当の井原副社長、そして最近HD DVDに対して勝利を収めたBlu-Rayの戦略担当部長も出席下さり、今後のSONYの戦略やVHS-ベータマックス戦争の経験を踏まえてどう今回HD DVDに打ち勝つ事が出来たのか、等について語ってくれた。井原副社長はStanfordの卒業生らしくアントレプレナーシップスピリットが豊富で、これまでもソニーエリクソンのジョイントベンチャー立ち上げ等を成功に導いており、この先もuser experienceにフォーカスしたイノベーションをどんどん生み出して行きたい、と力強く言っていた。また、最後には『適した人材に、適した仕事をさせるのが何よりも成功の秘訣だ』と皆へのメッセージを残し、プレゼンは終了。ショールーム見学が無くとも、十二分にSONYの真髄が皆にも伝わる内容だと思えた。
この日も俺は夜のディナーに借り出され、一旦ホテルに戻って着替えた後はDisney Seaへ。ここはDisneyの中でも唯一お酒が飲めるのと、海をモチーフにしたテーマパークは日本にしか無いとの事で、結構多くの人が参加。平日の夜なので客の入りも少なく、乗り物の列も殆ど並んでいないので快適。EC(2年目)にしてBaker Scholarを取得したDannyと妙に意気投合し、最後はTower of Terrorに二人で乗るも、やはりディズニーなので通常のフリーフォールに比べると若干物足りない。翌日は早朝新幹線に乗って名古屋に移動するので、皆に夜遊び自粛を呼びかけ、自分もこの日ばかりは大人しく部屋に戻って荷造りし、東京最後の夜を終えた。
次回はトヨタ・京都編です。